POCKET BASE - Category:Review

プロのミュージシャンを目指す高校3年の僕、水町涼は七里ケ浜のスタジオで悠子と出会った。ピアニストとして将来を期待される音大生のお嬢。その大人っぽさと時に見せる少女のような無邪気さに僕は恋に落ちた――。孤独な過去を持つ僕と将来に迷いを抱える彼女は、音楽を通じて心を通わせてゆく。だが生きてきた境遇が違いすぎる二人の前には、やがて壁が立ちはだかり……。人生のほろ苦さと青春のきらめきを描く傑作恋愛長編。

喜多嶋隆『ラブソングが歌えない』(角川書店、2011年)、カバー

ラブソングが歌えない

喜多嶋隆の新刊、『ラブソングが歌えない』が角川文庫より。

新刊といっても発売は先月だけどね。ずっと忙しくて、馬車馬のように働いていたもので……。

今作は、バンドをやっている高校生の少年と、ピアニストの女子大生との、爽やかな恋愛小説だ。

喜多嶋作品で、音楽がモチーフの小説といえば、「Sing」シリーズや、古いのだと「ポニー・テール」シリーズや「カモメ物語」シリーズなんかがあるけれど、今作は、それらよりもラブストーリ色が強いかな。こういう音楽モノもいいね。

ところで、今作は、今までとちょっと趣向が違うところがある。実は、ファンクラブの会員のために、毎月テープかCDで配布されている、書き下ろしのショートストーリー「ココナッツ・クラブ」で以前発表された2作品がベースになっているのだ。

当初はココナッツ・クラブでの作品の続きなのかな? と思っていたが、プロットを変え、別の作品として仕上がっている。

ファンクラブの会員にとっては、読み終わった後に、ココナッツ・クラブを聞き返すことで、二度美味しいお得な作品だ。

浅田政志写真展 記念日をつくる記念写真

ミュゼふくおかカメラ館で始まった夏の企画写真展、「浅田政志写真展 記念日をつくる記念写真」に行ってきた。初日となるこの日は、浅田政志本人によるギャラリートークもあり、撮影時の裏話などを聞きながら、じっくりと写真を観て回った。

館内では4つのコーナーが設けられている。おなじみの「浅田家」シリーズ。浅田家の家族が増えた「NEW LIFE」シリーズ。日本全国の家族写真を撮った「みんな家族」シリーズ。そして、青森県八戸市で、地域の人々を撮影した「八戸レビュウ」のシリーズも、八戸以外では初めて展示されている。

ギャラリートークは大勢の参加者で、ひとつひとつのコーナーを、100名以上が一斉について回る様子に本人も驚いていた。ちょっとした、ハーメルンの笛吹き男状態。

終盤には、サプライズゲストとして、浅田家父&母が。浅田家シリーズが目の前で繰り広げられているような、万葉の里高岡にちなんだいでたちで登場。

お三方とも、話が面白く、温かくて優しい、浅田家の写真の雰囲気を存分に楽しむことができた。いやぁ、ほんとうに楽しかった。

ちなみに、この写真展では、本人の意向により、写真展としてはめずらしく、館内での写真撮影が許可されている。この日も、お気に入りの写真の前で記念撮影をしている姿があちこちで見られた。浅田家の写真らしい、なんだか微笑ましい光景だった。

椎名誠写真展 五つの旅の物語 - プラス1

ミュゼふくおかカメラ館で開催されている春の企画写真展、「椎名誠写真展 五つの旅の物語 – プラス1」。行こうと思いながらそのままになっていたのだが、カメラ館から招待券が届いたので、ラッキー! と喜び勇んで観に行ってきた。

作家、エッセイストで、写真家でもある椎名誠が、世界各地を旅して取り溜めた自然風景やそこに生きる人々の写真を、地域別に「五つの旅の物語」としてまとめ、さらに津軽地方での写真を「プラス1」として加えた写真展。

現実の風景をそのまま切り取ったような写真には、1点ずつキャプションとして、椎名誠らしい文章が添えられている。そして、写真と文章を順にたどっていくと、一つの物語が完成する。まるで、椎名誠がしてきた旅を追体験しているような感じだ。こういう写真の展示スタイルも面白いね。物書きならではといったところか。

写真展の初日にはトークショーがあったのだが、写真と文章だけよりも、実際の話を聞くともっと面白かったかも。応募しておけばよかったな……。

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