金沢21世紀美術館で開催されている「冨田伊織 新世界『透明標本』展」に行ってきた。タンパク質を酵素により分解し、肉質を透明に、そして硬骨を赤色、軟骨を青色に染色するという骨格研究の手法をベースとして生まれた「透明標本」。
魚や爬虫類、両生類や鳥類、哺乳類まで、さまざまな生物が、冨田伊織の手にかかればまるでガラス細工のような、美しい宝石や鉱物のような、とても不思議なアート作品となっていた。
もちろん骨格研究のための学術標本でもあるので、普段見ることのない生物の内部を詳細に観察でき、またそれが美しいアート作品となることで、サイエンスへの入り口が広がり、難しい世界を気軽に覗くことができる。
小さな生物のさらに小さな骨の緻密さ。さまざまな生物の不思議な骨格。こんなところにこんな骨が入っているんだ、この生物はココはこんな骨格になっているんだと、美しいモノを鑑賞すると同時に、ものすごく興味深く観察することもできて、生物の神秘的な美をたっぷりと体感できる、なんとも不思議で幻想的な展覧会だった。
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