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あきない世傳 金と銀 大海篇 髙田郁

宝暦元年に浅草田原町に江戸店を開いた五鈴屋は、仲間の尽力を得て、一度は断たれた呉服商いに復帰、身分の高い武家を顧客に持つことで豪奢な絹織も扱うようになっていた。だが、もとは手頃な品々で人気を博しただけに、次第に葛藤が生まれていく。吉原での衣裳競べ、新店開業、まさかの裏切りや災禍を乗り越え、店主の幸や奉公人たちは「衣裳とは何か」「商いとは何か」、五鈴屋なりの答えを見出していく。時代は宝暦から明和へ、「買うての幸い、売っての幸せ」を掲げて商いの大海へと漕ぎ進む五鈴屋の物語、いよいよ、ここに完結。

高田郁『あきない世傳 金と銀 大海篇』(角川春樹事務所、2022年)、カバー

ハルキ文庫から刊行されている、髙田郁の『あきない世傳 金と銀 大海篇』を読んだ。齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出された“幸”。慣れない商家で働きながら、徐々に商いに心を惹かれていく。店主の後添えに納まった後、大坂そして江戸で、さまざまな困難を乗り越え、店主として成長していく物語。

子供時代から大人までの幸の成長とともに、たくさんの人の人生も描かれている。そして、ゆっくりと物語に没入できる展開は長編シリーズならでは。時間を置いて、また改めて読み直したくなる小説だ。

あと、毎回巻末に五鈴屋の番頭・治兵衛による「治兵衛のあきない講座」が掲載されている。江戸時代の暮らしや風習などが楽しく解説されていて何気に面白い。

髙田郁の小説といえば、テレビドラマや映画化もされた、「みをつくし料理帖」シリーズが好きだったが、「あきない世傳 金と銀」も長編のシリーズで、最初からずっと読み続けてきた。もしかすると、こちらもそのうちに映像化されるか?

6年半で全13巻、とうとう完結となった幸と五鈴屋の物語。終わったのは残念だけれども、少し先に特別巻を2冊刊行予定とのことなので、そちらを楽しみに待とう。