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天満橋まで 風の市兵衛 弐 辻堂魁

定町廻り《鬼しぶ》の心配をよそに、唐木市兵衛は未だ大坂に在った。世話になった長屋のお恒の息子が、突然、殺されたのだ。堂島の蔵屋敷で働く孝行息子だったが、その背中には幾つもの刺し傷があった。下っ引の良一郎らと下手人を追う市兵衛。堂島は米の取り付け騒ぎに震撼していた。同じ頃、市兵衛をつけ狙う刺客が現れた。気配からかなりの凄腕と思われ……。

辻堂魁『天満橋まで 風の市兵衛 弐』(祥伝社、2019年)、カバー

辻堂魁の『天満橋まで 風の市兵衛 弐』を読んだ。さすらいの渡り用人・唐木市兵衛の活躍を描く長編時代小説。「風の市兵衛」として20巻。「風の市兵衛 弐」となって5巻目となる、長編シリーズの最新作だ。

今作の『天満橋まで』は、タイトルにもあるとおり、前作から引き続いて大阪編。まだ大阪にとどまっていた市兵衛たちに、新たな災難が降りかかる。

市兵衛の住まいが変わった「風の市兵衛 弐」からは、それまでの登場人物の出番が減り、新たな人物がいろいろ出てきたけれど、大阪編になってまたガラリと変わった。兄の片岡信正や、友人の返弥陀ノ介なんかは大阪編に全然出てこない。まあ、これだけの長編シリーズだし、新展開でいろいろと変化があるのも面白いよね。

時代モノは、ややもすると堅苦しくて読みにくい場合もあるが、「風の市兵衛」はストーリー展開によい緊張感があり、それでいてアクションの要素なんかはスカッとして、とても読みやすい。

魅力的な登場人物たち。波瀾万丈のストーリー。ハラハラドキドキの剣戟シーン。小気味いいセリフ回し。「風の市兵衛」は、とても秀逸なエンターテインメント作品だ。