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あのバラードが歌えない 喜多嶋隆

雨の夜。流葉爽太郎は、怪しげな男たちに追われる少女を救う。流葉亭で働き始めた彼女には、つらく哀しい過去があった。ある日、ギターを手に歌い始めた少女。その孤独な魂の叫びが、流葉の胸に深く沁みていった。やがて通い始める心と心……。彼女を世界一のジーンズ・メーカーのCFに起用する流葉。しかし、背後には執拗な追っ手の姿が迫っていた——

喜多嶋隆『あのバラードが歌えない』(光文社、2007年)、カバー

喜多嶋隆の新刊、CFギャング・シリーズ『あのバラードが歌えない』が光文社文庫より。喜多嶋作品の中でも、一番好きなシリーズ。喜多嶋作品にはまったきっかけになったのもこのシリーズ。

相変わらず恰好良く、相変わらず渋く、相変わらず自由奔放で、相変わらず完璧な流葉爽太郎。しかし今回の作品では爽太郎の弱さというかもろさが少し見えた感じ。しかし、いつもより少し大人っぽく感じたのは気のせいだろうか。

ところで、先月1週間ほど入院というものを初体験していたのだが、最初の2日間はもうとにかく暇で暇で。おまけにあまり動けないは、気分は滅入るはで、二度と入院なんて勘弁という感じだった。しかし、そんな滅入った気分を癒す清涼剤として大活躍してくれたのが、この爽快感あふれる喜多嶋作品たち。家の本棚からごっそりと喜多嶋隆の文庫本を持ってきてもらい、その後は退院までずっと喜多嶋作品漬け。たった1週間だが、退屈で気分の滅入る入院生活も喜多嶋作品のおかげで随分と楽に過ごせた。喜多嶋隆氏に感謝。

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