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マナは海に向かう 喜多嶋隆

門倉マナは漁師の祖父と2人、葉山に暮らす高校3年生。学業の傍ら、海に繰り出す日々。夏の終りのある日、1人で漁に出た祖父は戻らず、発見された船には、巨大魚との格闘の痕跡が残されていた。祖父の誇りを守るため、マナは青春を賭けた闘いに挑む! 海辺の町に暮らす人々のそれぞれの人生、ダイナミックな洋上の闘い……。いくつもの魅力に溢れた海洋青春小説。

喜多嶋隆『マナは海に向かう』(光文社、2013年)、カバー

喜多嶋隆の新刊、『マナは海に向かう』が光文社文庫より。主人公は、漁師の家に生まれ育った高校3年生の少女マナ。亡き祖父の誇りを守るため、弁護士になるという夢を中断し、巨大なマグロとの勝負に挑む。

あとがきにも書いてあったが、海での巨大な魚と人間の勝負を描いた作品といえば、ヘミングウェイの『老人と海』を、まず思い浮かべる。あちらは、巨大なカジキとベテラン老漁師の勝負で、『マナは海に向かう』はマグロと少女の勝負だ。

巨大魚と数日間に渡り闘う老漁師サンチャゴの姿を通し、人間の心や自然の姿を描いた『老人と海』と違い、今作は、マグロとの闘いに至るまでの1年間。さまざまな困難をのりこえて成長していくマナと、そんなマナの姿に影響され、同じように悩み成長していく、周りの友人たちの人生が描かれている。

相変わらず、主人公の生きる姿に感動し勇気を貰える喜多嶋作品。マナの友人たちのように、読んでいるこちらも影響されそうだ。また近いうちに再読してみよう。

そういえば『老人と海』って、ずいぶん前に読んだきりだなぁ。世間はちょうど夏休みシーズン。読書感想文のために名作を読む時期だし、本棚の奥から引っ張り出して、久しぶりにこちらも読んでみようかな。

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