高岡市美術館で開催されている企画展「歌川広重 二つの東海道五拾三次」。歌川広重の代表作『東海道五拾三次』の「保永堂版」と、その約15年後に出版された、通称隷書版とも呼ばれる「丸清版」が展示されていた。
本展では、保永堂版と丸清版が別々に展示されているのではなく、東海道五拾十三次の55枚それぞれを並べて展示。さらに、解説と共に大正時代や現代に撮影された写真も展示されており、“二つの東海道五拾三次”を見比べながら、時代による移り変わりも楽しめる構成になっていた。
同じ宿場でも、異なるふたつの構図。豊かな色使いで描かれ、季節や時間、天候などをリアルに感じることができる表現力。どちらも素晴らしいけれど、約15年の間に、広重の中で考え方や好みなど、表現方法にどのような変化があったのかを思案しながら、ひとつづつ見るのも楽しかった。
久しぶりに触れる広重の浮世絵。最近まったく旅行に行けていない代わりと言ってはなんだが、駐車場が無料になる2時間ギリギリまでたっぷりと、江戸時代の東海道五拾三次の旅を、弥次さん喜多さん気分で堪能してきた。
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