喜多嶋隆の新刊、『Hawaii Love Story』が中央公論新社より。ハワイ専門雑誌の『アロハエクスプレス』に掲載された掌編が34編と、海とボート&ヨットの雑誌『パーフェクトボート』からの1編をまとめた掌編集。
どちらの雑誌も、あまり目にすることがなく、今まで読むことができなかったけれど、まとめて読めるようになったのが嬉しい。
収録されているのは、すべてハワイを舞台にしたラヴストーリー。ただし、描かれているのは、ラヴストーリーを通した、ロコたちの人生観といったところか。ハワイの空のような、カラリとした生き方や価値観。まあ、ハワイに行ったことはないんだけれどね。なんとなく、そんな感じ。
また、今作には、氏がハワイで撮影した写真も多く収録されている。ハワイの日常的な風景を写したスナップ写真だが、どの写真からも、なにか物語が感じられるような気がする。小説家になる前の、CFディレクターの“目”で、日常の物語の一場面を切り取っているのだろうか。
今までの作品でも、表紙や中扉などに氏が撮影した写真が使われていたり、ファンクラブ会員へのグリーティングカードなんかにも使われている。小説もそうだが、実はそういう写真も楽しめたりするのが、喜多嶋隆ファンの美味しいところ。
今年の夏は、お天道様の顔を見る機会が少なく、毎日ジメッとした日々だが、気持ちの良い潮風を感じることができる喜多嶋作品で、夏を楽しむことにしよう。
そういえば、次回作は、久しぶりに流葉爽太郎が活躍するCFギャング・シリーズの新作だとか。楽しみだぁ。
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