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Miss ハーバー・マスター 喜多嶋隆

逗葉マリーナで〈ハーバー・マスター〉を務めている夏佳。マリーナに置かれているすべての船の管理から、ボートやヨット・オーナーの相談役まで、ハーバー内で起こる全ての責任を負っている。さまざまなオーナーたちを相手に夏佳はいつも毅然と仕事をし、一日が終わると幼なじみがやっている居酒屋に立ち寄るのが日課だった。ある日、いちオーナーの親子問題に巻き込まれることになるのだが……。潮風香る、書き下ろし長編。

喜多嶋隆『Miss ハーバー・マスター』(角川書店、2014年)、カバー

喜多嶋隆の新刊、『Miss ハーバー・マスター』が角川文庫より。今作の舞台は、湘南のあるマリーナ。主人公は、そのマリーナでハーバー・マスターを務めている夏佳。一癖も二癖もある船のオーナーたちを相手に、マリーナの責任者として、まだ若いながらも毅然とした態度で仕事についている。今作も相変わらず魅かれる主人公だ。

作中、自分の選択に迷いがある少年に、主人公がヘミングウェイの小説『持つと持たぬと』のタイトルを引用して説いている。何かを持つことが大切と考える人。何かをできるかどうかが大切と考える人。自分はどちらのタイプだったか。そしてこれからはどちらのタイプになりたいのだろうか。そんなことを、この歳になって考えさせられる一冊。

ヘミングウェイの小説は何作か読んだことはあるが、『持つと持たぬと』は未読だ。こちらも読んでみようかなと思ったが、文庫化はされていないんだね。どうやら全集にしか収載されていないようだ。まあ、機会があればということで。

さて、今作の『Miss ハーバー・マスター』も、また新しい主人公の物語。毎回魅力的な主人公の話を読むたびに、この主人公の別の話も読めればいいなと思っているのだが、最近はシリーズになるモノが出ていない。今度はどうかな。

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