デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!
坂木司『和菓子のアン』(光文社、2012年)、カバー
坂木司の『和菓子のアン』。よく行く書店で、文庫本ランキングの棚に並んでいた、光文社文庫版を購入して読んでみた。
坂木司の作品は、デビュー作の『青空の卵』を読んだことがある。その時は、なんとなく合わない感じがしたので、それ以来、坂木司の作品は読んでいなかったのだが、『和菓子のアン』は結構楽しく読むことができた。やっぱり食わず嫌いはダメだね。ということで、今は別の作品も購入して読んでいる。
今作の主人公「アンちゃん」こと梅本杏子は、高校を出たての18歳。よくいるギャル系ではなく、かといって生真面目だったり暗かったりするわけでもない、お菓子が大好きでちょっぴりふくよかな、ごく普通の女の子。そんなアンちゃんが、デパ地下の「和菓子舗・みつ屋」に採用され、個性豊かな同僚やお客さんに振り回されながらも、成長していく姿がほほ笑ましい。
また、デパ地下という舞台設定も珍しく、あまり目にすることのない舞台裏も楽しめるし、季節を絡めた和菓子の話も面白い。和菓子好きのうえ、デパートでのバイト経験がある身として、これは外せない小説だったな。
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