小早川星は、アメリカで活躍する敏腕キャスティング・ディレクター。映画やCFなどにふさわしい出演者を探し出演交渉を行う仕事だ。ニューヨークで彼女を襲った悲劇。最愛の恋人を失い、傷心を抱えて日本に帰国した星を待ち受けていたのは、危険な香りただよう仕事だった……。新たなヒロインの生き方を描く、ロマンティック・サスペンス。
喜多嶋隆『きみの瞳に乾杯を』(光文社、2012年)、カバー
喜多嶋隆の新刊、『きみの瞳に乾杯を』が光文社文庫より。新たなヒロインが登場する、期待の新作。
ヒロインの小早川星は、キャスティング・ディレクターという職業だ。聞いたことはあったが、実際にどんな職業なのか、詳しくは知らなかった。日本では、あまりメジャーではないのかな。
アメリカで心に大きな傷を負ったヒロイン。その心を休ませるため、生まれ育った日本へ帰ってくる。そこへ飛び込んできた、新たな仕事をまた始めることで、すこしずつ前へ向かって歩き始めるが、ヒロインの心の傷は、簡単に癒えるような傷ではない。
その傷が癒える時は来るのか。癒えることがないとしたら、その傷とともに、どう生きていくのだろうか。今後の小早川星の生き方も、ぜひ読んでみたい。
ところで、今作のカバーは、いつもと雰囲気が違い、佐々木悟郎による水彩のイラストが描かれている。最近のカバーは写真が多かったけれど、イラストのカバーっていうのも懐かしくっていいね。氏のイラストは、10年くらい前の『再会のシンガポール・スリング』以来かな。昔は、鈴木英人やペーター佐藤のイラストも、よくカバーになっていたなぁ。
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