小早川咲、34歳。夫を事故で亡くし、息子の航と15年ぶりに戻った地元・葉山で、咲は周雲龍という中国人青年と出会う。事故で傷付いた航の心を開くため、釣り船の船頭である周と毎日一緒に釣りをすることに……。穏やかに笑い合う日々を過ごし、自然と惹かれ合っていく2人。やがて秘密の合図を使ったメッセージを送りはじめるが……。喪失と再生との間で揺れ動く想い。不器用な大人たちの切ない恋を描く上質の恋愛長篇。
喜多嶋隆『恋のぼり 二人で見ていた、あの空に』(角川書店、2011年)、カバー
喜多嶋隆の新刊、『恋のぼり 二人で見ていた、あの空に』が角川文庫より。
切ない悲恋物語。あとがきに「虹のような恋を描きたかった。」という言葉があった。いつの間にかああらわれ、そして、いつの間にか必ず消えていく、そんな虹のような恋の物語。
この歳になると、哀しい内容のモノよりも、楽しいモノを欲してしまうのだが、今作には、虹のように消えていく喪失感だけでなく、虹が出ている空の陽射しような優しさも描かれているので、ひと安心。
今年最初となる喜多嶋組長の一冊だったが、今月は光文社からも、一冊文庫本が出るらしい。喜多嶋組の組員としてはうれしい限り。そういえば、昨年は喜多嶋組のイベントに行けなかったけれど、今年はいけるといいなぁ。
- 光文社からの新刊の発売は、来月に変更されました。(追記:2011年2月11日)
喜多嶋 隆のホームページ喜多嶋隆 My Hawaii My Room ~今年もハワイに帰ってきた~- web KADOKAWA - 角川書店・角川グループ
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