山本甲士の連作短編集『わらの人』を原作とした、河崎実監督の映画『髪がかり』を観てきた。
河崎実監督といえば、『いかレスラー』『日本以外全部沈没』や『ヅラ刑事』などのB級コメディ映画で有名だが、本作はそれらとはちょっと違う、ハートウォーミングムービー。しかし、それでもB級コメディの要素は、そこかしこにちりばめられている。
名門学園の総務課に勤めるOL。就職活動中の大学生。美術館の受付嬢。それぞれに悩みを抱える3人が、偶然通りかかった散髪屋で髪を切ることに。夏木マリ演じる散髪屋の女主人に髪を切ってもらうと、いつの間にか居眠りをしてしまう。そして、目を覚まして鏡を見ると、そこには思いもよらぬ髪形の自分が。しかし、女主人は「すごく似合ってますよ」とニッコリ微笑む。
ガラリと変わった見た目で、その後の人生も良い方向へガラリと変わっていく、少し不思議で少しおかしな三つの物語。それぞれの物語の最初の所で、少しかかわるように出てくるだけの夏木マリが、なんとも不思議で、それでいて存在感がたっぷり。
どんな不幸な人生をおくっていても、ちょっとしたきっかけで、人は誰でも変わることができる。ちょっと背中を押してくれるような映画だ。
髪がかり
フィードバック