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ニューヨーク・スケッチブック

最近、書店の文庫本コーナーの平台に、懐かしい文庫本が平積みされているのを目にした。

積まれていたのは、ピート・ハミルの『ニューヨーク・スケッチブック』。約20年前に購入した文庫本と同じ表紙に、販促用の帯まで付き、新装版として河出文庫より刊行されている。

この『ニューヨーク・スケッチブック』は、34編からなる短編集なのだが、文庫本には付録として「黄色いハンカチ」という短編が収録されている。

これは、1977年に公開された、山田洋次監督による映画『幸福の黄色いハンカチ』の原作で、今年の6月に、アメリカ版の『イエロー・ハンカチーフ』が日本でも公開されるため、この文庫本が新装版として刊行されたのだろう。

喜多嶋隆の新刊の中にも、この『ニューヨーク・スケッチブック』が登場してきたこともあり、懐かしくて、最近本棚の奥から引っ張り出して再読していた。

どの話も、ニューヨークで暮らす人々の日常の一瞬が描かれた、数ページで終わる短い話だ。そして、登場する人物も、ほんの一面だけが描かれている。そのおかげで、どの話を読んでも、登場人物のバックグラウンドを、いろいろと想像することができる。

だから、それぞれは短い話だが、この本を読むときには、いくつもの話を一気に読まないで、1編づつ読みたい。部屋の手の届くところや、鞄の中など、ほんの少し時間があるとき、いつでも読めるところに置いておきたい一冊。

未知は、葉山育ちの22歳。一本気な性格から最初の就職先を3週間で辞めてしまう。そして始めたのが、フリーペーパーを編集するバイト。未知は、仕事を通じてさまざまな人々の挫折や、再起に向かう姿を知る……。誰もみな思い通りにいかない人生を歩いている。それを実感しながらも、希望に向かって歩み出す未知。そして彼女を迷わす意外な恋の展開……。湘南の四季に包まれ成長していく女性を描いた傑作青春小説!

喜多嶋隆『さよなら、湘南ガール』(角川書店、2010年)、カバー

さよなら、湘南ガール

喜多嶋隆の新刊、『さよなら、湘南ガール』が角川文庫より。新しいシリーズ作品となるか、これからに期待が持てる新作。

これまでの喜多嶋作品では、自分の生き方をしっかりと確立し、信じる道をまっすぐに歩んでいる主人公が多かった。

しかし、今作の主人公の未知は、これまでの主人公たちとは少し感じが違う。

一本気な性格や、潮風を感じさせるさらりとした性格。曲がったことが嫌いで、納得できないことには従わないといった芯の強さは、これまでの喜多嶋作品に登場してきた主人公たちと同じだが、未知は、自分の進むべき道に迷い、悩み、立ち止まり、少しずつ少しずつ歩んでいる。

もしかすると、ほかの喜多嶋作品の主人公たちも、最初は未知のように悩み、曲がりくねった道を少しずつ歩みながら、自分の「Way of life(生きる流儀)」を確立してきたのだろうかと、想像させられる。

今作の『さよなら、湘南ガール』は、主人公の未知だけでなく、これまでの主人公たちも、少し身近に感じられる気にさせてくれる、ちょっとお得な作品になった。

ハリスおばさんパリへ行く

先日から、本棚の奥でほこりをかぶっていた懐かしい本を、引っ張り出して読んでいた。

少年少女講談社文庫(懐かしの、ふくろうの本)より刊行されていた、ポール・ガリコの小説『ハリスおばさんパリへ行く』。

小学生のころ、親に買ってもらい、大好きで、何度もくり返し読んでいた本だ。……あれっ? この本を買ってもらったのは、妹のほうだったかな? まあ、いいや。

ロンドンの下町に住む、ハリスおばさん。60歳近くになった今でも、かよい女中として、毎日働いている。ある日、お得意さんの家で出会った、クリスチャン・ディオールの美しいドレス。ハリスおばさんは、この美しいディオールのドレスを、自分でも手に入れたくなった。つつましやかに暮らしてきたハリスおばさんは、ディオールの高価なドレスを手に入れることができるのか。そして、ハリスおばさんの得た、ドレスよりすてきなものとは……。

明るく、常に前向きなハリスおばさんの生き方に励まされるとともに、本当に大切なものとは何かを教えてくれる一冊。

ところで、ハリスおばさんの物語だが、実はシリーズ化されており、この『ハリスおばさんパリへ行く』のほかにも、『ハリスおばさんニューヨークへ行く』『ハリスおばさん国会へ行く』『ハリスおばさんモスクワへ行く』と、あと3作品もあるらしい。全然知らなかった。今度、図書館にでも行って探してみようかな。

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