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小早川咲、34歳。夫を事故で亡くし、息子の航と15年ぶりに戻った地元・葉山で、咲は周雲龍という中国人青年と出会う。事故で傷付いた航の心を開くため、釣り船の船頭である周と毎日一緒に釣りをすることに……。穏やかに笑い合う日々を過ごし、自然と惹かれ合っていく2人。やがて秘密の合図を使ったメッセージを送りはじめるが……。喪失と再生との間で揺れ動く想い。不器用な大人たちの切ない恋を描く上質の恋愛長篇。

喜多嶋隆『恋のぼり 二人で見ていた、あの空に』(角川書店、2011年)、カバー

恋のぼり 二人で見ていた、あの空に

喜多嶋隆の新刊、『恋のぼり 二人で見ていた、あの空に』が角川文庫より。

切ない悲恋物語。あとがきに「虹のような恋を描きたかった。」という言葉があった。いつの間にかああらわれ、そして、いつの間にか必ず消えていく、そんな虹のような恋の物語。

この歳になると、哀しい内容のモノよりも、楽しいモノを欲してしまうのだが、今作には、虹のように消えていく喪失感だけでなく、虹が出ている空の陽射しような優しさも描かれているので、ひと安心。

今年最初となる喜多嶋組長の一冊だったが、今月は光文社からも、一冊文庫本が出るらしい。喜多嶋組の組員としてはうれしい限り。そういえば、昨年は喜多嶋組のイベントに行けなかったけれど、今年はいけるといいなぁ。

追記(2011-2-11):
光文社からの新刊の発売は、来月に変更されたようだ。

流葉爽太郎の相棒、熊沢が急病で倒れた。代わりにやってきたのは、仕事はできるが、どこか謎めいた面を持つ美女だった。彼女との初仕事は、自動車会社の新車CF。流葉が起用を決めたのは、47歳の現役Jリーガーだった。一度夢をあきらめた男は、娘のため、そして自分自身の誇りをかけ、ピッチに戻ってきたのだ。男たちの夢が、女たちの想いが、いま疾走し始める!

喜多嶋隆『美しき敗者たち』(光文社、2010年)、カバー

美しき敗者たち

喜多嶋隆の新刊、CFギャング・シリーズ『美しき敗者たち』が光文社文庫より。

お馴染、流葉爽太郎のちょい不良オヤジぶりが楽しめるこのシリーズ。ずいぶん長く続いているが、今作では登場人物に大きな動きがあった。

シリーズの初回よりずっと登場していた、相棒のプロデュサー、熊沢が急病で倒れて入院。そして、代わりのプロデューサーとして新しいキャラクターが登場。これからもレギュラーとして登場するのか? そうなると熊沢の出番は? これは、シリーズの次回作も楽しみになってきたぞ。

ところで、いつも葉山マリーナで開催されている、喜多嶋組の総会。去年とおととしの春には参加したのだが、何かと物入り続きで今年は参加できずに残念。しばらくご無沙汰しているためか、湘南、逗子・葉山の風のにおいが懐かしくなっているのだが、そんな気分を少し和らげてくれているのが「湘南ビーチFM」だ。

この湘南ビーチFMは、葉山マリーナの一角にスタジオがあるコミュニティFM放送なので、逗子葉山地域以外ではラジオで聴けない。しかし、サイマルラジオでネット配信されているため、パソコンやiPhoneなどがあれば、富山にいながらも湘南ビーチFMを聴くことが可能。ありがたい。

音声と一緒に、葉山マリーナに設置されているライブカメラ映像も配信されており、休日の夕暮れ時、湘南のサンセットを眺めながらの湘南ビーチFMが、最近の楽しみのひとつになっている。

未知は、葉山育ちの22歳。一本気な性格から最初の就職先を3週間で辞めてしまう。そして始めたのが、フリーペーパーを編集するバイト。未知は、仕事を通じてさまざまな人々の挫折や、再起に向かう姿を知る……。誰もみな思い通りにいかない人生を歩いている。それを実感しながらも、希望に向かって歩み出す未知。そして彼女を迷わす意外な恋の展開……。湘南の四季に包まれ成長していく女性を描いた傑作青春小説!

喜多嶋隆『さよなら、湘南ガール』(角川書店、2010年)、カバー

さよなら、湘南ガール

喜多嶋隆の新刊、『さよなら、湘南ガール』が角川文庫より。新しいシリーズ作品となるか、これからに期待が持てる新作。

これまでの喜多嶋作品では、自分の生き方をしっかりと確立し、信じる道をまっすぐに歩んでいる主人公が多かった。

しかし、今作の主人公の未知は、これまでの主人公たちとは少し感じが違う。

一本気な性格や、潮風を感じさせるさらりとした性格。曲がったことが嫌いで、納得できないことには従わないといった芯の強さは、これまでの喜多嶋作品に登場してきた主人公たちと同じだが、未知は、自分の進むべき道に迷い、悩み、立ち止まり、少しずつ少しずつ歩んでいる。

もしかすると、ほかの喜多嶋作品の主人公たちも、最初は未知のように悩み、曲がりくねった道を少しずつ歩みながら、自分の「Way of life(生きる流儀)」を確立してきたのだろうかと、想像させられる。

今作の『さよなら、湘南ガール』は、主人公の未知だけでなく、これまでの主人公たちも、少し身近に感じられる気にさせてくれる、ちょっとお得な作品になった。

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