POCKET BASE - Tag:かもめ食堂

バーバー吉野

その町は、どこにでもあるような、普通の田舎町だった。ただひとつ、その町の少年すべてが、「吉野刈り」というマッシュルームカットにしていることを除いては……。

『バーバー吉野』は、2003年に発表された映画で、荻上直子監督の、長編初監督作品。主演には、もたいまさこ。二人のコンビは、この『バーバー吉野』から、『恋は五・七・五!』、『かもめ食堂』、『めがね』へと続いている。

なかなか観る機会がなかったのだが、先日、やっとDVDで観ることができた。

床屋のおばちゃん役を演じるもたいまさこは、あいかわらずの好演。そして、町の少年たちの演技も、素朴で、この作品のテイストにとてもあっている。

その少年たちが、「吉野刈り」という、100年以上も続く町の伝統に反旗を翻し、プチ家出をするところからの流れは、あの名作『スタンド・バイ・ミー』を彷彿させるというのは、少し大袈裟だろうか。

純真だった少年時代。ささやかな反抗心。初恋。すこしづつ昇ってゆく大人の階段。そんな時代を思い出し、ちょっぴり、こっぱずかしい気持ちにさせてくれる作品。

ところで、先日、荻上直子監督の最新作『トイレット』が発表された。今夏の公開を予定しているらしく、すべてカナダのトロントで撮影されたとか。そして、唯一の日本人キャストとして、今回も、もたいまさこが出演するそうだ。これは期待できるかな?

プール

桜沢エリカが原作、小林聡美、もたいまさこ、加瀬亮が出演の映画『プール』を観てきた。

舞台は、タイの古都チェンマイ。郊外の、小さなプールのあるゲストハウス。そこに集まった、5人の6日間の物語。

小林聡美、もたいまさこが出演とくれば、大好きな映画の『かもめ食堂』『めがね』から続く第3段という感じ。加瀬亮も、『めがね』に続いての出演だしね。ずっと楽しみにしていた映画が、やっと地元で公開した。できれば、もうすこし暖かい時期に観たかったかな。

今作の『プール』は、『かもめ食堂』『めがね』と監督・脚本が違うためか、前の2作と比べ、少し毛色が違う感じがした。それでも、映像全体から感じられる、彩度を少し落とした色合いのような、優しく癒される雰囲気は変わらない。

小林聡美が演じる京子の娘、さよ役の新人、伽奈の演技が、初々しいというか、たどたどしいというか……。4年ぶりに会う母親の、見知らぬ人たちと楽しそうに暮らす姿に戸惑う娘、という感じが、とても良く表現されていたと思う。

そして、劇中に出てきた、小林聡美がギターを弾きながら、プールサイドで歌う「君の好きな花」という歌。なんと、本人の作詞作曲らしいが、のんびりとして、この作品にピッタリな曲。こんな才能もあるんだねぇ。

わたしのマトカ

以前から読んでみたいと思っていたが、そのまま買うのを忘れてしまっていた、幻冬舎の単行本『わたしのマトカ』。近所の書店で見かけたので入手。

女優の片桐はいりが、映画『かもめ食堂』の撮影で1か月間フィンランドに滞在していた時の出来事を中心に、「旅」にまつわるあれこれを綴った初めての書き下ろしエッセイ。

映像の中で観る彼女の楽しい演技と同じく、文章の方も独特の内容とテンポでとても楽しい。旅先で出会う人や場所を、独特のセンスで感じ、体験する。自分でこういう旅ができればと思うと同時に、彼女の行動力には本当に感心する。うらやましい限りだ。

小説ではなくエッセイなので、映画の『かもめ食堂』の中に流れる時間のように、のんびりと、少しずつ時間をかけて読むことができた。彼女は、このエッセイの後に『グアテマラの弟』という、同じく「旅」を題材にしたエッセイを出しているそうなので、そちらの方も読んでみようかな。

Page 1 of 212

Utilities