POCKET BASE - Category:Review

超熟×かもめ食堂

昨年映画が公開、そしてDVDも発売された『かもめ食堂』。この2月に入ってから、時々TVでその映画のワンシーンのような映像が流れている。

実はこれ、Pascoの食パン「超熟」のCF。以前からCFに出演していた小林聡美つながりという事で、映画『かもめ食堂』とのコラボレーションとなっているようだ。この組み合わせ、Good Job。

朝、市場で買い物をしているサチエさん。店に帰ってきて開店の準備。軽やかな音を立てて玉ねぎを切っている。鍋には美味しそうに煮えているミックスベリージャム。食パンにレタスやサーモン、玉ねぎなどをはさんでサンドイッチを作る。サクリと小気味よい音でサンドイッチを半分に。そしてラストは映画の中で何度も観たサチエさんの「いらっしゃい」というセリフと笑顔。15秒の中に『かもめ食堂』が詰め込まれ、商品の「超熟」もたまらなく美味しそうなCFになっている。

現在放送されているのは「春夏篇」。もうワンパターン「秋冬篇」も作られているという事でそちらも今から楽しみだ。

そういえば最近、幻冬舎より刊行されている原作の方の『かもめ食堂』の単行本を買って読んでみた。映画では描かれていない描写などもあり、こちらもなかなか面白い。読み終わると、映画の方もまた観たくなった。

リトル・ミス・サンシャイン

やっと地元で公開された『リトル・ミス・サンシャイン』を観てきた。先月は1本も劇場で観なかったので、これが今年最初に劇場で観た映画となる。そして、その初っぱなの映画が大当たり。これはなかなか幸先がいい。

アリゾナに住むあるフーヴァー家は、家族それぞれが問題を抱えバラバラな状態。そんな家族の娘オリーヴが「リトル・ミス・サンシャイン」コンテストに繰り上げで参加する事となる。オンボロのVWミニバスに乗り、家族総出で会場のあるカリフォルニアに向けて出発するが、旅の途中では家族に次々とトラブルが。おまけにオンボロのVWミニバスまでもが故障し始める。しかし、オリーヴの夢「リトル・ミス・サンシャイン」のため、バラバラだった家族が一つになっていく。

自分が開発したプログラムで人間を「勝ち組」と「負け組」にわけ、独自の成功論を説く父リチャード。この映画の中で「勝ち組」と「負け組」という言葉が何度も出てくる。何をもって「勝ち組」と「負け組」なのか。絶対に勝つ事が成功となるのか。勝ち負けにこだわっては得られない大事なモノもあるのではないか。そんな現代社会へのアンチテーゼを感じ取る事が出来る作品。

何かを考えさせられ、感動させられ、そして随所にちりばめられた少しブラックなユーモアがアクセントとなり、とてもバランスがよく、面白い映画だと思う。

雨の夜。流葉爽太郎は、怪しげな男たちに追われる少女を救う。流葉亭で働き始めた彼女には、つらく哀しい過去があった。ある日、ギターを手に歌い始めた少女。その孤独な魂の叫びが、流葉の胸に深く沁みていった。やがて通い始める心と心……。彼女を世界一のジーンズ・メーカーのCFに起用する流葉。しかし、背後には執拗な追っ手の姿が迫っていた——

喜多嶋隆『あのバラードが歌えない』(光文社、2007年)、カバー

あのバラードが歌えない

喜多嶋隆の新刊、CFギャング・シリーズ『あのバラードが歌えない』が光文社文庫より。喜多嶋作品の中でも、一番好きなシリーズ。喜多嶋作品にはまったきっかけになったのもこのシリーズ。

相変わらず恰好良く、相変わらず渋く、相変わらず自由奔放で、相変わらず完璧な流葉爽太郎。しかし今回の作品では爽太郎の弱さというかもろさが少し見えた感じ。しかし、いつもより少し大人っぽく感じたのは気のせいだろうか。

ところで、先月1週間ほど入院というものを初体験していたのだが、最初の2日間はもうとにかく暇で暇で。おまけにあまり動けないは、気分は滅入るはで、二度と入院なんて勘弁という感じだった。しかし、そんな滅入った気分を癒す清涼剤として大活躍してくれたのが、この爽快感あふれる喜多嶋作品たち。家の本棚からごっそりと喜多嶋隆の文庫本を持ってきてもらい、その後は退院までずっと喜多嶋作品漬け。たった1週間だが、退屈で気分の滅入る入院生活も喜多嶋作品のおかげで随分と楽に過ごせた。喜多嶋隆氏に感謝。

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