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山怪 山人が語る不思議な話 田中康弘

山と溪谷社から刊行されている、田中康弘の『山怪 山人が語る不思議な話』を読んだ。著者が交流のある秋田・阿仁のマタギたちや、各地の猟師、山で働き暮らす人びとから実話として聞いた、山の奇妙で怖ろしい体験談が多数収録されている。

正直今までに物の怪を見るとか不思議な体験といった類いとは無縁だったし、怖がりな方なので、お化け屋敷やホラー映画なども避けてきた。これからもそういった体験は遠慮したいけれど、本書はそこまでではないので大丈夫。

現代版『遠野物語』という感じだが、そこまで伝説的な物語でもない。猟師たちによる奇妙な体験談が、雑談でもするように語られている。おそらくこういった類いの話が代々語り継がれることで、いろいろな肉付けもされ、民話などになっていくのだろう。しかし、語り部が減り、それを聞こうとする人も減っている現在、残念ながらこういった類いの話はこの先どんどんと消えていくのかもしれない。

最近では、民話などを語り伝えていこうという活動も各地で見かけるが、本書もそういった活動の一環を担うモノのひとつなのだろう。まあ、そんな難しいことを考えなくても、本書は、猟師たちの語り口をそのままで不思議な話が収録されているので、囲炉裏を囲んで語り部たちの話を聞いているような感覚で楽しむことができて面白かった。

また、発行元である山と溪谷社のYouTubeチャンネルでは、著者による「執筆動機」や「読み聞かせ」などの動画が公開されている。そちらで、少しだが本書の内容を感じることができるだろう。

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