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舟を編む 三浦しをん

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

三浦しをん『舟を編む』(光文社、2015年)、カバー

三浦しをんの『舟を編む』、光文社文庫版を読んだ。2012年に、全国書店員が選ぶ「本屋大賞」で大賞を受賞し、ベストセラーにもなった作品。松田龍平主演で映画化されたモノは見たのだが、原作はまだ読んでいなかったので、待望の文庫化。待望といいっても、3月に発売されてすぐに買いながら積ん読になっていたのを、やっと読んだんだけどね。

あまり見聞きする事のない辞書編纂の現場と、その仕事に携わる人々を描いた小説。仕事に取り組む姿勢も性格も違う編纂者たちが、長い年月をかけて、ひとつの辞書を作り上げるまでの過程が描かれている。編纂作業の様子やさまざまな苦労話なども興味深いが、それに関わる人物それぞれの人間関係なども面白かった。

辞書といえば、現在おもに使っているのは、iPadに入れているiOS版の「大辞林」と「三省堂国語辞典」だが、高校のころに使っていた「新明解国語辞典」も、捨てずにまだ部屋に置いてある。電子版は便利だけれども、紙の辞書の味わいもまだまだ捨てがたいものだ。

いろいろな辞書を比べてみると、同じ言葉でも、その辞書の特徴や方向性によって語釈の違いがある。それぞれの辞書を編纂者がどういう思いで作ったのか、辞書に載っている序文を読んでみると、その思いに少し触れることができる。そんな辞書の見たかも楽しいかも。

この作品と同様に、辞書編纂の現場描いたモノで、文藝春秋の『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』という本がある。フィクションの小説ではなく、2013年にNHKで放映されたドキュメンタリー番組を元に書き下ろされたノンフィクションだが、結構面白そうだ。こちらも文庫化されたら読んでみよう。

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