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鼠、狸囃子に踊る 赤川次郎

女医の千草の手伝いで、一人でお使いに出かけたお国。帰り道に耳にしたのは、お囃子の音色。フラフラと音が鳴る方へ覗きに行ったはいいが、人っ子一人、見当たらない。次郎吉も話半分に聞いていたが……。

赤川次郎『鼠、狸囃子に踊る』(角川書店、2014年)、カバー

角川文庫から刊行されている、赤川次郎の『鼠、狸囃子に踊る』を読んだ。赤川次郎初の時代小説として話題を呼んだ「鼠」シリーズの第7弾。今年の1月には、このシリーズを原作としたドラマ『鼠、江戸を疾る』が、NHK総合で放送されていた。

江戸時代に実在した盗人・鼠小僧。これまでにも、歌舞伎や小説、映画やドラマなど、数々の創作がなされてきた。赤川次郎独自の解釈を加えて書かれたこのシリーズも、いなせで気っ風のいい江戸っ子の次郎吉が格好良く描かれている。

次郎吉をとりまく江戸の人々も個性的だ。小太刀の達人で次郎吉よりも腕が立つ、妹の小袖。長崎で蘭学を学んだ女医の仙田千草と、次郎吉に助けられ、その後千草の助手をしているお国など。このシリーズでは、鼠小僧の盗人としての活躍よりも、そういう裏の顔を持つ次郎吉と江戸の人々との人情話が大半を占めており、それがまた面白い。

赤川次郎といえば、個人的には「三毛猫ホームズ」シリーズの印象が強く、何作か読んだこともあるけれど、この「鼠」シリーズの方が好みかも。以前は「時代考証などを調べなければならない時代物は書かない」と言っていたそうだが、鼠を書くためには、どこまで時代考証をしたのだろう。多少の矛盾はまったく気にしないので、この「鼠」シリーズも「三毛猫ホームズ」シリーズのように長く続いてくれるといいなぁ。

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