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さよなら、湘南ガール 喜多嶋隆

未知は、葉山育ちの22歳。一本気な性格から最初の就職先を3週間で辞めてしまう。そして始めたのが、フリーペーパーを編集するバイト。未知は、仕事を通じてさまざまな人々の挫折や、再起に向かう姿を知る……。誰もみな思い通りにいかない人生を歩いている。それを実感しながらも、希望に向かって歩み出す未知。そして彼女を迷わす意外な恋の展開……。湘南の四季に包まれ成長していく女性を描いた傑作青春小説!

喜多嶋隆『さよなら、湘南ガール』(角川書店、2010年)、カバー

喜多嶋隆の新刊、『さよなら、湘南ガール』が角川文庫より。新しいシリーズ作品となるか、これからに期待が持てる新作。

これまでの喜多嶋作品では、自分の生き方をしっかりと確立し、信じる道をまっすぐに歩んでいる主人公が多かった。

しかし、今作の主人公の未知は、これまでの主人公たちとは少し感じが違う。

一本気な性格や、潮風を感じさせるさらりとした性格。曲がったことが嫌いで、納得できないことには従わないといった芯の強さは、これまでの喜多嶋作品に登場してきた主人公たちと同じだが、未知は、自分の進むべき道に迷い、悩み、立ち止まり、少しずつ少しずつ歩んでいる。

もしかすると、ほかの喜多嶋作品の主人公たちも、最初は未知のように悩み、曲がりくねった道を少しずつ歩みながら、自分の「Way of life(生きる流儀)」を確立してきたのだろうかと、想像させられる。

今作の『さよなら、湘南ガール』は、主人公の未知だけでなく、これまでの主人公たちも、少し身近に感じられる気にさせてくれる、ちょっとお得な作品になった。

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