POCKET BASE - 9 月 2007

ミス・ポター

ミス・ポター

世界で一番愛されているウサギ「ピーター・ラビット」。その生みの親である、ビアトリクス・ポターの半生を描いた映画『ミス・ポター』。史実とは違う部分もあるらしいが、おおむね実話。主演はレニー・ゼルウィガー。

時は1902年、ロンドン。まだヴィクトリア朝の封建的な空気が漂っている。上流階級の女性が仕事を持つことなどあり得なかったこの時代に、アーティストとして生きようとした一人の女性がいた。

ストーリーには、あまり大きな盛り上がりがない。多少のいざこざはあるが、緩やかに時が過ぎていく。平坦なストーリーといえばそれまでだが、中盤以降に出てくる、イングランドの北西部、湖水地方の壮大な風景と相まって、穏やかな映画に仕上がっていると思う。ひょっこりと出てくるピーター・ラビットたちと、ポターとのやりとりも楽しい。

撮影の舞台となったのは、ポターがその美しい景観を守るために購入して暮らし、没後は遺言でナショナル・トラストに寄付した地方だそうだ。ピーター・ラビットの物語の舞台として知られ、今でも世界中から観光客が訪れているらしい。できれば、その美しい映像とともに、湖水地方で自然を守りながら暮らす、ポター晩年の話をもっと観たかった。

魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木

魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木

福音館書店より刊行されている、角野栄子の魔女の宅急便シリーズ最新刊『魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木』を読んだ。魔女の宅急便シリーズもいつのまにか5作目だ。

実はずいぶん昔に、2作目まで読んではいたが、そのまま続きを読まず、本も古本屋に売ってしまっていた。しかし、今年の春に新刊が発売になったと聞き、また1作目から買い直して少しずつ読み進め、やっと5作目にたどり着いた。

「魔女の宅急便」といえば、スタジオジブリのアニメ映画の方が有名だが、原作本もなかなか面白い。ジャンルは児童書となっているが、大人でも十分に楽しめる作品だ。ちなみに、アニメ映画のほうは、原作でいうと1作目のあたり。宮崎駿オリジナルのエピソードを含めてアレンジされているので、内容はちょっと違う。だが、どちらも同じように、やさしさに包まれた作品だ。

さて、今作の『魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木』で、キキは19歳になっている。いままでに色々な出会いや経験を経て成長し、もうすぐ20歳になろうとしているキキ。どうやらこのお話も、ここでひと区切りのようだ。次の巻は何年後になるのか分からないが、新しい「魔女の宅急便」を楽しみに待とう。

あれ鈴虫も鳴きだした〜♪

鈴虫

たしか6月ごろ、うちの親が知り合いから、鈴虫の幼虫を大量にもらってきた。ほんの数ミリの小さな幼虫。その幼虫を昆虫ケースに入れて、土や木、そしてナスと粉末の鈴虫の餌を入れ、家の中で飼ってきた。

何度も脱皮を繰り返して、少しずつ大きくなっていった鈴虫たち。8月も中旬を過ぎると羽化が始まり、羽の生えた成虫がちらほらと。成虫になるとオスは羽をこすり合わせて鳴くのだが、このころは成虫の数も少なく、夜になるとたまに「ジジ〜、ジジ〜」と聞こえる程度だった。まだ鳴くのになれていないのか、鳴き方もたどたどしい。

しかし、いまではほとんどが羽の生えた成虫となり、鳴くのも昼夜を問わない。なれてきたのか、鈴虫らしい鈴のような鳴き声で、「リリ〜ン、リリ〜ン」と鳴いている。1匹が鳴き出すと、他の鈴虫も競い合うように鳴き出し、本当に賑やかな演奏会だ。ちょっと数が多かったのか、大合唱になっているが……。

ところで、鈴虫の鳴き声は周波数が高すぎるので、普通の電話では聴こえないと聞いたことがあるのだが、本当なのだろうか? 今度試してみようかな。

ミラクルバナナ

ミラクルバナナ

西半球の最貧国といわれるハイチ共和国。そんなハイチ共和国に、大使館の派遣員として赴任した三島幸子。ハイチのことをほとんど知らなかった彼女にとって、その現状すべてがカルチャーショックだった。

ある日、偶然バナナの木から紙ができることを知る。こんな貧しい国でさえ捨てられているバナナの木から、紙を作ることができれば何かが変わるかも! そう直感した彼女は、バナナの紙をつくるプロジェクトを立ち上げる。

名古屋市立大学の森島教授がリーダーを努めている、実際のプロジェクトをモチーフにした映画『ミラクルバナナ』。劇場公開時は、結局地元で公開されずに観られなかった映画。やっとDVD化となり観ることが出来た。

内容は全編を通して明るい。貧困という問題を扱っているが、主人公の幸子やハイチの人々の明るさが伝わってくる。緒形拳扮する和紙職人が、ハイチの街中を見て「まるで戦後の闇市だ」と言っていた。それはきっと、風景ではなくハイチの人々の「生きるための明るい強さ」を見ての言葉だろう。

「日本の交通事故の死者は年に一万人くらい、それに自殺する人は三万人以上いるかな」「三万人? 自殺なんてこの国にはほとんどないよ。日本は何でもある豊かな国なのになぜ?」。幸子と同僚のフィリップが交わす会話だ。

日本人が忘れてしまった大切な何かが残っているハイチ。そんなハイチで、バナナ・ペーパー・プロジェクトによって、日本では衰退しつつある手漉き和紙という文化が受け継がれようとしている。日本人が失ってしまったものとは? そして取り戻さなくてはいけないものとは? そんな事を考えさせてくれる、素晴らしい映画だった。

君を探してノース・ショア

「ハワイの本当の良さをアピールするCFを作ってほしい」。流葉爽太郎のもとに州知事からの依頼が飛び込んだ。観光PRではなく、現地の人々の誇りになるようなCF——爽太郎の出した答えは意外なものだった。現地に飛んだ流葉は1人のロコ・ガールをスカウトする。希望、挫折、そして再起へ……。さまざまな人々の想いをのせて、いまキャンペーンは走り始める!

君を探してノース・ショア

喜多嶋隆の新刊、CFギャング・シリーズ『君を探してノース・ショア』が光文社文庫より。初期に8作。そして、復活してからは第9作目となるロングランシリーズ。帯に書かれている「シリーズ最高傑作」の文字どおり、このシリーズらしさの出た、とても良い作品だと思う。

復活してからも順調に刊行されているCFギャング・シリーズだが、今回の作品で初期に刊行されていた数を抜いた。まだまだ続きそうだし、是非続いて欲しい作品だ。

同じ光文社文庫から刊行されていたモノでライカ・シリーズがある。2作しか刊行されていないので、シリーズと呼べるかどうかは分からないが、こちらの復活も是非期待したい。2作しか刊行されていないということは、あまり人気がなかったのだろうか? 結構好きな作品なので、頻繁なシリーズ化ではなくても、また続きが読みたいものだ。

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